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注目している地裁判決

「時効」の壁、28年前の殺人で損害賠償は?…判決へ
 刑事事件としても民事事件としても「時効」を過ぎた後に殺人を告白した男に、損害賠償という「償い」を求めることが出来るかどうかが争点となった裁判の判決が26日、東京地裁で言い渡される。

 1978年に東京都足立区立小学校の教諭・石川千佳子さん(当時29歳)を殺害し、26年後に犯行を自供した男(70)らに、遺族が約1億8600万円の賠償を求めた民事訴訟。

 男側は民法の「時効」を盾に民事責任はないと主張している。「償いに時効はない」と訴える遺族の声は認められるのか――。

 故郷の北海道を離れ、東京で図工の先生をしていた石川さんが行方不明になったのは、78年8月14日。夏休みのプール当番で出勤した後のことだ。

 父の辰男さんが上京して方々を捜したが見つからず、数か月後、石川さんのアパートを引き払った。弟の憲さん(55)は、「誰もいない部屋で姉の荷物を片づけた父は、どれほど悲しい思いをしたことか」と振り返る。辰男さんは4年後に失意のまま亡くなった。憲さんと、もう一人の弟・雅敏さん(53)は、「死体発見」のニュースを聞く度、姉ではないかと気をもんだ。

 わずかな望みが絶たれたのは2004年夏。警視庁綾瀬署から遺体の発見が伝えられた。犯人は同じ小学校の警備員だった。プール当番の日に校舎内で石川さんの首を絞めて殺害し、遺体を自宅の床下に埋め、その上で暮らし続けていた。自宅が取り壊されることになり、「事件が発覚してしまう」と恐れ、自首した。

 殺人罪の公訴時効(当時は15年)は過ぎ、男は不起訴になった。 「それなら、民事で罪を償わせよう」。遺族は05年4月、男と、雇用主に当たる足立区を相手に、提訴に踏み切った。
 だが、民事にも「時効」の壁がある。不法行為から20年がたつと賠償請求権がなくなる「除斥期間」という民法の規定が、遺族の前に立ちはだかった。
 ただ、今年6月、「札幌B型肝炎訴訟」で最高裁は、除斥期間を緩やかに解釈して被害救済を実現した。今回も遺族側は、「遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだ」と主張している。
 6月、雅敏さんは法廷で最後の陳述を行った。
 「姉の殺害を隠し、私たちの権利行使を26年間も妨害していた男が、除斥期間の恩恵を受けることは著しく不公平。もし、これが認められれば、犯罪者の殺し得、隠し得、逃げ得を、国が認めることになる」
(2006年9月25日3時3分 読売新聞)

26日は安倍新総理の組閣やら、奈良女児誘拐殺人の小林薫被告(37)の判決公判やらがあって、26日はあわただしいですが、個人的な興味ですがこの判決に注目しています。
 殺人・死体遺棄罪については公訴時効が成立してしまっているので如何ともし難いのですか、心情的には、民事で損害賠償を認めてこの犯人に少しでも償わせるべきというのが、正義に適(かな)った判断かと思います。

 だけど、民法の724条の後段の規定があるために、不法行為の時(殺されたとき)から
から20年を経過したときは、損害賠償請求権が消滅するとなっています。
 724条の前段だけだと、法定代理人(遺族)が被害者の死を知り、かつ加害者(この犯人)を知った時(犯人の自首により知らされた)だから、損害賠償の請求はできるんだけど、後段の除斥期間の"縛り"があるために時効が成立している可能性が大です。

 記事にもありますように、「札幌B型肝炎訴訟」で最高裁は除斥期間を緩やかに解釈したのですが、このケースでは、「損害が加害行為が終了してから相当期間が経過した後に発生するものと認められ、除斥期間の起算点は、加害行為(集団予防接種)の時ではなく、損害の発生(B型肝炎の発症)の時というべきである」という特殊なケースなので、この殺人事件には適用がかなり難しいかと思います。

 遺族側の主張では、「遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだ」とのことですが、明文で「不法行為の時から」となっているので、裁判所も相当無理な解釈をしなければ損害賠償を認めると言うことは無いと思います。

 願わくば東京地裁で画期的な解釈が出てほしいですが、それがだめなら、この事件をきっかけとして、民法724条後段の削除するか、または20年をもう少し延ばすかする立法的措置が必要かと思います。


 刑訴法第253条  時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。

 民法第724条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。


【9/26追記】
 女性教諭殺害を26年後に自供、男に330万賠償命令
 1978年に東京都足立区立小の女性教諭を殺害して自宅の床下に埋め、殺人の時効が過ぎた26年後に犯行を自白した元同小警備員の男(70)らに、遺族3人が約1億8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。

 永野厚郎裁判長は、男が遺体を隠し続けた行為について、「遺族が故人を弔う機会を奪い、故人に対する敬愛・追慕の情を情を著しく侵害した」と述べ、男に計330万円の賠償を命じた。

 一方、殺人については、「民法上の時効が過ぎており損害賠償請求権は消滅した」として、賠償責任は認めなかった。

 訴えていたのは、殺害された同区立小教諭・石川千佳子さん(当時29歳)の母と2人の弟の計3人。

 判決によると、男は78年8月14日午後4時半ごろ、小学校の校舎内で、石川さんの首を絞めて殺害。遺体を車で自宅に運んだ後、自宅1階の床下に埋めた。しかし、26年後の2004年8月、自宅が区画整理事業で解体されることになり、石川さんの遺体が発見されるのを恐れ、警視庁綾瀬署に自首した。

 訴訟では、不法行為から20年がたつと賠償請求が出来なくなる「除斥期間」が適用されるかどうかが争点となった。遺族側は、「殺害と遺体の隠匿は一連の不法行為で、除斥期間の始まりは遺体発見時とすべきだ」と主張していた。

 これに対し、判決は、殺人については「除斥期間の始まりを遅らせることは出来ない」と指摘。その一方で、遺体の隠匿については、「一つの意思に貫かれた権利侵害行為の継続であり、遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだ」と、柔軟な解釈を示し、男の不法行為責任を認めた。

 一方、遺族は足立区に対しても損害賠償を求めていたが、判決は、「職員の生命などに具体的な危険が生じていることは認識できなかった」と述べ、請求を棄却した。
(2006年9月26日15時15分 読売新聞)

 予想通り、除斥期間の壁は破れませんでした。
だけど、裁判長は「遺体を隠し続けた行為」を権利侵害とし、遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだとの新解釈で、賠償を一部認めました。
 何とかして、社会正義を実現しようとした裁判官の苦労が伺える判決ではないでしょうか。
 足立区に対する請求は棄却されましたが、概して妥当な判決かと思います。
posted by: Nanyasore | 法律 | 11:19 | comments(7) | trackbacks(2) |

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コメント
 
2006/09/25 12:00 PM
Posted by: 名無し@ネタ切れ
ゴルゴ13に依頼されそうですな・・・

難癖つけて、例えば死体が見つからず行方不明扱いで捜査していたが殺人事件としての捜査は始まったばかり、時効はさらに20年後になるので君は殺人死体遺棄で逮捕
とするか謎の死を遂げてもらうしかないんじゃないですか・・・?
2006/09/25 7:45 PM
Posted by: やや右寄り?のベル
時効が成立しているのに
約1億8600万円の賠償を求めた遺族。
同情はしますが、ちょっと自分に都合の良い主張ではないですかね。
犯行を自供した男だけでなく
雇用主に当たる『足立区』を相手に賠償を求めるあたりからも
善人とはちがう胡散臭さを感じます。

仮にいくらかでも賠償が認められれば
時効になっても自供する犯人は2度と現れないでしょう。
だって法律を無視しても賠償させるって事ですから。
この遺族にとっては真相が永遠の闇に
閉ざされたままの方が良かったのでしょうけれど
「もし、これが認められれば
犯罪者の殺し得、隠し得、逃げ得を
国が認めることになる」
ってコメントも共感出来ません。

時効は解決の見込みがない犯罪に
税金を垂れ流し続けない『壁』でもあります。
時効という法律を無視して
損害賠償という法律の権利を主張することに
共感出来ないのかも知れません。
2006/09/26 1:32 AM
Posted by: nanyasore
名無しさん、ようこそ。
 そう、必殺仕事人の中村主水に頼まなければならないような、そんなやるせない気持ちになります。

やや右寄り?のベルさん、ようこそ。
 ベルさん仰る時効とはあくまで、税金の無駄遣いを抑える公訴時効の話かと思います。
 だけど民事上の時効の存在理由は、
1 長期にわたって継続した状態の尊重
2 権利の上に眠る者は保護しない
3 立証の困難を救済する
というものです。
 今回問題となっている除斥期間の考え方も1に近いですが、権利関係を速やかに確定するために権利の行使期間を限定するというものです。

 さて、上記の時効および除斥期間の考え方から、時効や除斥期間でもって、殺人者の権利を保護する必要があるでしょうか?

 ・殺人者の権利を尊重?
 ・遺族が権利の上に眠っている?
 ・自首しているから立証は容易
 ・不法行為によるものを速やかに確定する必要性があるのか?

 私はそうは思いません。法律で明文化されているからと言って、杓子定規に解釈しても良いのでしょうか?

 ベルさんは遺族の非難されますが、加害者の悪態を見ましたか?
 取材している記者に対して、取材を拒否し、杖を振るって威嚇していたのを。
 人を殺したにもかかわらず、悪びれることもなく・・・
 自首したのは区画整理で自宅を壊されるので、発覚する前に自ら出頭したまでのことであって、自責の念は全くない自己中であることを・・・
 私が肉親を殺された遺族であれば、同じことをしていたと思います。
2006/09/26 10:18 AM
Posted by: やや右寄り?のベル
なるほど、nanyasoreさんの考え方も一理ありますね。私も遺族であれば、何らかの形で罪を償わせたいと思うでしょう。
それでもなお、共感出来ない点を2つ挙げますと
(1)法律の規定外でも刑を適用・執行する。
(2)雇用主にも賠償を求める。

>時効や除斥期間でもって、殺人者の権利を保護する必要があるでしょうか?
殺人者の権利を保護する必要は全くありません。被害者の権利を命ごと奪った加害者の権利は、著しく制限されるべきだと思います。ココには共感しますが、それ以前に「時効成立を無視して良い」とする点に共感出来ないのです。

犯罪者を裁くのは、法律に違反しているからです。だから当然法律に基づいて裁かれます。
しかし法律の規定以上(もしくは規定外)の判決が出し得るなら、もはや法律とは言えないのではありませんか?
私は時効=殺人者の権利を保護する為のものとは思いませんので、「時効だろうが何だろうが、損害賠償を支払え」という主張は、法治国家では認められないと思うのです。
可哀想だとは思いますが、あきらめて下さい・・・という心境です。

>法律で明文化されているからと言って、杓子定規に解釈しても良いのでしょうか?
上の文章を「法律で明文化されていても、解釈はその都度変えて良い」と言い換えるのならば、賛成出来ません。
裁判は解釈次第で「合憲・違憲」と判決が分かれますが、それでも「この法律が適用されるので」という理由があります。
誤解を受けるかも知れないのを承知であえて言うならば「法律は杓子定規に解釈しなければならない」と思います。

法律があるから法で裁くことが出来ます。法律を無視して良いなら法で裁こうとしないで欲しいのです。
義務を履行しないで権利だけ主張する人とダブって見えたので、こんな印象を持ちました。
時効前であれば遺族を全面的に支持しましたけれどね。
2006/09/26 11:30 AM
Posted by: Nanyasore
やや右寄り?のベルさん、ようこそ。
 やや右寄り?のベルさんの仰ることが正論だと思います。
 指摘しておきたいのですが、あくまで民事上の話なので、(1)の"刑"には当たりませんし、それに、(2)は民法上認められた権利(民715条)であって、認められるか認められないかは別として、殺人者を雇用していた足立区の使用・監督上の責任を問うているだけであって、位置づけとしては付帯的請求ではないでしょうか。

刑法では、厳格な罪刑法定主義で、拡大解釈はもちろんのこと、類推解釈も禁止されています。
 しかし、今回は民事であって、民法の解釈は結構、解釈に幅があり、限定的に解釈したり、類推解釈をすることが多々あります。
 では、なぜ解釈に幅があるのか?
それは法をそのまま解釈すると、結果が著しく不当か、社会通念上、理不尽になるからです。

 今回のレアなケースではありますが、限定的な解釈が出ても良いのではないかと思っています。(99%無理っぽいですが)

明文の規定でも、理不尽な結果となる場合、最高裁が伝家の宝刀を抜いたケースもありますよ。
(尊属殺人重罰規定違憲判決)
http://yabusaka.moo.jp/yaita.htm
http://www.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/17-2.html
2006/09/27 11:18 AM
Posted by: やや右寄り?のベル
まず初めに、私の主張には無知からくる誤解があったことを認めます。民事(民法)ならば民法上認められた権利があり、それに基づいて賠償を請求した・・・という事ですね。

さて、判決が出ましたね。「遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだ」との新解釈には、やや納得出来ませんが、「遺体を隠し続けた行為」を権利侵害として、加害者を無罪放免としなかったのは良かったと思います。本件は殺人事件ですからね。私も妥当な判決だと思います。
2006/09/27 12:00 PM
Posted by: Nanyasore
やや右寄り?のベルさん、ようこそ。
 私も、「遺体発見時を除斥期間の始まりとすべきだ」との新解釈については、判決文を見ていないので確かなことは言えませんが、少々疑問に思っています。
 上級審で破棄されるかも知れません。
 しかし、何とかして社会正義を実現しようとした裁判官の苦悩がそこに見て取れます。
 解釈論では限界があるので、立法的措置が必要なのかも知れません。









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2006/10/02 12:05 PM
Posted by: 瞬★旬!キーワード〜このヒトだあれ?
つゆだく大臣? 高市早苗
高市 早苗(たかいち さなえ)は、1961年生まれ。 神戸大学経営学部経営学科卒業。 松下政経塾の5期生。 このたび、安部晋三内閣で内閣府特命担当大臣として初入閣。 沖縄及び北方対策、科学技術政策、イノベーション、少子化・男女共同参画、食品
2006/11/15 4:14 PM
Posted by: 東京住みたい!
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